妙な病


ある日自分から広がる景色に

運命を感じて「僕は特別」と

何かに選ばれ生まれたんだと

自分の非力さも忘れて 確信する

 

リーダー気取りのあいつも 脇役に過ぎない

 

僕とそれ以外で出来た世界 僕は物語の主人公

他人とは違う 脇役とは違うよ

平凡な今が変わる日が 力を見せつけるその日が

やってくるのを静かに待っている

 

真面目多数派大人を斜めに構えて

根拠もなく嗤うことで輝く気がした

マイノリティこそ至高だとありきたりな考えを持つ

まるで裸の王様さ

 

テレビのお偉いさん叩こうと覚えたての横文字振り回す

けれど空っぽの言葉は誰にも届かない

 

僕とそれ以外で出来た世界 僕は物語の主人公

他人とは違う 脇役とは違うのに

日常はいつまでも変わらず 特別な力も湧いてこず

そっと音も立てず そう静かなまま

 

僕は何者でもない 誰かの物語のエキストラ

きっかけもなくその事実は育った 僕は埋もれ

横を見ながら「せーの」で口角あげてイキテル

 

僕は薬も飲まずにある妙な病を治した 腐ってしまった ただそれだけ

振り返れば特別な力やマイノリティーが胸をくすぐる

それでも主人公の目はまっすぐ澄んでいた

 

後悔はしていない