アロンクロン

僕を作り上げてきた優しい声が僕の名前をなぞるから

ただただ振り向いたんだ 世界に一つだけの声の行方を追って

 

僕を僕だと認識するありふれた記号も

あなたがくれたものだから愛せたよ

 

ただ一つ代わりはないよ

すべてのものが唯一無二

ただ一人代わりはいないよ

僕もあなたも世界に一人ずつ

 

あなたが振る舞ってくれた二人だけの淡い記憶 つまんでは笑い合うけれど

僕は少し忘れっぽくてどうも味がわからない時がある

 

ごめんね、でも

 

覚えていない 思い出せないよ

あなたの話すあの日のこと

覚えていない 思い出せないよ

あなたの話す僕のこと

 

写真の中で笑う君

僕によく似た目鼻口

名前は同じでも違う

僕だって君になりたかった

僕だって写真のように笑いたい

 

覚えている よく覚えているよ

あなたの温度と愛の言葉

でもわかっている わかっているさ

そのすべては僕のものじゃない

 

気付いてしまったんだ

あなたの瞳が映すものに

 

自分を騙して君への愛を抱きしめる

そうさ僕はずっと、ひとりだったんだ